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「低解約返戻金型終身保険」に横たわる"長くて深い谷"

低解約返戻金型終身保険は死亡保障保険です。「終身保険」ですので、死亡保障が一生涯続く保険です。つまり契約が有効である限り、何歳で亡くなっても保険金が支払われる保険です。

1.保険営業員は、顧客に低解約返戻金型終身保険を「貯蓄代わり」に使わせたがる
 低解約返戻金型終身保険は死亡保障保険なのですが、保険営業員は、「貯蓄代わりにも使いましょう」としばしば言ってきます。払込満了後の解約返戻率(*1)ばかりを強調して、払込が終わった後で解約すれば、払い込んだ総額保険料の110%以上の金額(解約返戻金)が戻って来ます、と言ってきます。(*2)

 保険営業員のセールストークに乗せられたままだと、低解約返戻金型終身保険で払込満了時期にたどり着くまでには、"深くて長い谷"が横たわっているのを忘れてしまいがちです。
保険営業員は、払込満了期までに払込を続けられるかどうかを顧客に冷静に考えさせないようにしているように思えます。なぜなら、顧客が冷静に考えてしまうと、この保険を契約しなくなってしまうかもしれないから。

2.タンス預金と低解約返戻金型終身保険との「貯蓄代わり」比較
 ではこれから、どれほど貯蓄代わりになるのかを、低解約返戻金型終身保険を使った場合と、他の方法を活用した場合とで冷静に比較していってみましょう。

 まず、貯蓄代わりに低解約返戻金型終身保険を使わずに、タンス預金をしていった場合を見てみます。
図1,図2は、30歳・男性が、毎月17,560円を30年間タンス預金で積み立てていったときの図です。
110320低解約終身_長くて深い谷(図1,2)

30年間で632万円が貯まります。(図1)
タンス預金ですから、利息は一切付きません。しかし、元本割れすることもありません。当然ですが、元金からの増減は一切ありません。(図2)

では次に、低解約返戻金型終身保険を使ってみた場合を見てみます。
ある商品を例に、30歳・男性が、毎月17,560円の保険料を30年間支払っていく場合で考えてみます。(図3)
(死亡保障額は、1000万円です。)
110320低解約終身_長くて深い谷(図3)

保険営業員は、A地点(30歳)から、F地点(60歳・払込満了時)ばかりを見るように強調します。「どうです? 30年後はそれまで払い込んだ保険料の110%以上になりますよ。」と。行く手に広がる"谷"(B地点からE地点)を意識させようとしません。

しかし、B地点からE地点をちゃんと見てみてください。払い込みをしている30年もの間、ずっと"元本割れ"ですね。払込が進んでいけばいくほど、"谷"はドンドン深くなっていきます。
この事例では、最大120万円の"元本割れ"です。

次に、払込を続けている30年間に、ご家族にどんなことがありそうかを見てみましょう。
30歳・男性は、2歳と0歳のお子さんがいるとします。(図4)
110320低解約終身_長くて深い谷(図4)

 この保険を契約してからしばらくの間は、教育費はそれほど多くありません。ずっと支払えそうな気分になるかもしれません。
しかし、お子さんが高校生になる頃から、教育費の負担が大きくなってきます。(*3)
D地点では、お子さん2人の学費が、年間200万円以上になります。それに加えて、年間20万円ほどの保険料。
このような時期になって、お子さんの学費と生命保険料とで、どちらを優先すると考えますか?

教育費の重圧に耐えられなくなって、D地点で解約すると105万円の"元本割れ"です。105万円はそれまで保障をしてもらった保険料だと割り切りますか?
20年間で105万円の保険料(掛け金)は、実はとても割高な保険料ですよ(*4)

それとも、教育費を犠牲にして、保険を払い続けますか?

仮に、30年間多少の無理をして払い続けたとしましょう。今回の事例で使った低解約返戻金型終身保険・商品では、払込保険料総額632万円に対して、払込満了後の解約返戻金は732万円。解約返戻率は115.8%です。今の低金利の時代から見ると、スゴイと思ってしまいますか?
しかし、この金額は、銀行預金で年利1%とチョットの利息が30年間付けば、達成できる金額です。
険しい"長くて深い谷"をかき分けて、無理して続けてきて、こんな程度です。

今でこそ、預金利率は年1%を下回っていますが、将来金利が上昇したら・・・。

では、世の中の金利が上がったら、低解約返戻金型終身保険で、"戻ってくる"金額も増えると思いますか?
低解約返戻金型終身保険での"戻ってくる金額"の大部分を占めるのは「解約返戻金」です。今回の事例で使った低解約返戻金型終身保険・商品では、"戻ってくる"解約返戻金の額は契約時に確定してしまいます。世の中の金利が上がっても変動なしです。
ただ、この商品は「5年ごと利差配当付き」となっています。
保険会社が想定しているよりも高い金利での運用ができた場合には、5年ごとに「配当金」が付くことになっている商品です。
さて、その配当金はどれほど期待できるでしょう。
ちなみに、この保険商品の直近の実績では、契約から5年目に800円ほどの配当がついたようです。5年間で100万円ほど保険料を支払って、800円の配当金ということです。(*5)
こういうのを「雀の涙」と言うのではありませんか?

3.「保険代わりになる貯蓄」と低解約返戻金型終身保険との保障額・「貯蓄代わり」比較
 "長くて深い谷"を潜り抜けなければならない高いリスクを犯すぐらいなら、「保険代わりになる貯蓄」を使ってみませんか? 実質的な「死亡保障額」(契約者が亡くなった時に、遺族が受け取る金額)は、低解約返戻金型終身保険と遜色ありません。しかも、低解約返戻金型終身保険ほど"深い谷"も歩かなくて済みます。

図5は、月々17,560円を「低解約返戻金型終身保険」と「貯蓄+逓減定期保険」とに支払っていった場合で比較した図です。
110320低解約終身VS貯蓄・逓減定期(図5)

(表1)「低解約返戻金型終身保険」と「貯蓄+逓減定期保険」との比較表
110320低解約終身VS貯蓄・逓減定期(表1)

まず、契約者が亡くなった場合に「遺族が受け取る金額」を比較してみます。
「低解約返戻金型終身保険」の場合、亡くなった場合に遺族が受け取る金額は死亡保障額になっている金額(1000万円)です。
「貯蓄+逓減定期保険」の場合、亡くなった場合に遺族が受け取る金額は、貯蓄残高と逓減定期保険の死亡保障額との合計額になります。
特に、保険料を払っている期間(30年間)では、「低解約返戻金型終身保険」と「貯蓄+逓減定期保険」とで、ほとんど変わりはありません

次に、払込(積立)を中途で止めた場合に「戻ってくる金額」を比較してみます。
「低解約返戻金型終身保険」の場合、解約返戻金が「戻ってくる金額」です。(5年ごとに付く配当金は無視します)
「貯蓄+逓減定期保険」の場合、貯蓄残高が、いわば「戻ってくる金額」です。
「貯蓄+逓減定期保険」のほうが断然有利です。

図6は、払込を開始して以降、それまでに払い込んだ金額に対して「戻ってくる金額」の増減状況を比較したものです。
110320低解約終身_長くて深い谷(図6)

払込期間中(家族に対して最も責任が重い時期)では、「低解約返戻金型終身保険」は払込金額よりもずっと低い金額しか戻ってきません。まさに"長くて深い谷"の中です。

今より金利が上昇すれば、払込期間中に「貯蓄+逓減定期保険」の「戻ってくる金額」はそれまでの払込総額(元金)を超えます
しかし、今回の事例で使用した「低解約返戻金型終身保険」商品は、契約したときに将来の解約返戻金の額は確定します。配当金こそ多少は増えるかもしれませんが、「貯蓄+逓減定期保険」ほどダイレクトに金利の上昇を反映できるかどうか不透明です。ですので、少なくとも私は、払込期間中の"元本割れ"額が飛躍的に減少することは期待できません。F地点での「戻ってくる金額」も、その増加を期待することは、その後の落胆を生むだけと考えています。

現在A地点に立っているあなたは、F地点だけを見て「低解約返戻金型終身保険」を選択しますか?
それとも、B地点からE地点のことも考え、また、今後の金利上昇も期待して「貯蓄+逓減定期保険」を選択しますか?
どちらが損失リスクが低いと思いますか?
あなたはどちらを選びますか?

個人的な意見を申し上げれば、現在の低金利下で低解約返戻金型終身保険を選ぶ人は、
(1)保険営業員のセールストークを鵜呑みにすることなく、
(2)どんな目的で加入するかが明確であり、
(3)子供の教育費がかさむようになるなどして、その払込保険料が生活費を圧迫するようになっても、保険料払込期間中は解約することなく、
(4)将来世の中の預金金利があがっても、この保険に加入していることを恨めしく思うことがない、
このような限定的な条件に合う人だけだと考えています。

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(*1)この記事では、「ある時点の解約返戻金額÷ある時点までの支払い保険料累計額」を解約返戻率と呼ぶことにします。

(*2)低解約返戻金型終身保険は、「低解約返戻金型」でない終身保険よりも保険料払込期間中ずっと、解約返戻金を30%低くする代わりに、保険料を10%~15%ほど割安にした保険です。
(払込期間中の解約返戻金を30%低くしたのに、保険料も30%低くした(安くした)わけではありません。)
ですので、払込期間中での解約は、非常に不利な商品と言えます。

なぜ、保険営業員は「低解約返戻金型終身保険」を熱心に勧めたがるのか?
管理人は、以下のように推定しています。
ひとつは、「貯蓄代わりになる」というエサで顧客を釣りやすいこと。
もうひとつは、「低解約返戻金型終身保険」は他の保険商品よりも販売手数料が高めに設定されていること。

(参考)
「All About プロファイル-ファイナンシャルプランナー釜口 博-コラム-保険募集人の行動や言動の決定要因は手数料の多寡

(*3)図3では、中学校までは公立、それ以降は私立の学校に入学すると仮定しています。
 各時点の1年間の学費は、「ocnマネー-教育」を参考にしました。

(*4)低解約返戻金型終身保険を払込中途で解約した場合の"元本割れ"額を、それまで保障するために要した「保険料」とみなした場合、同期間・同額を保障する定期保険の保険料とを比較した表
低解約終身VS定期保険

(*5)17年度契約・5年ごと利差配当付低解約返戻金型終身保険
30歳加入、60歳払込満了、男性、月払、保険金額500万円 (月額保険料8,765円)
という商品の、契約後5年後の平成21年度の配当金実績が 414円でした。
今回は保険金額1000万円としていますので、414円の2倍と想定しました。

なお、今回の事例で使用した保険商品は、平成22年11月から値上げしています。
30歳、男、60歳払込満了、という条件で、およそ3%の値上げでした。
この条件で、値上げ前の月額保険料17,040円。値上げ後が17,560円です。
配当金実績事例で示したものは、値上げ前での保険契約です。
今回の事例で使用している「30歳、男、60歳払込満了、月額保険料17,560円」は、H23年3月時点(値上げ後)での保険料です。

(**)今回の事例で使用した「低解約返戻金型終身保険」商品の予定利率は、契約期間中固定となっている商品です。
「予定利率」は、いわば「保険料の割引率」です。
1990年頃は、予定利率(割引率)が5%ほどだったのですが、現在では1.5%ほどになっています。
予定利率が高いほど、保険料は割安となります。
金利が高いと予定利率も上がり、金利が低いと予定利率も低くなるようです。

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☆当ブログ 関連記事☆ 
「貯蓄代わりにもなる保険?-低解約返戻金型終身保険(1)」
「貯蓄代わりにもなる保険?-低解約返戻金型終身保険(2)」
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初めて生命保険を契約してから○十年。
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